ポーランド、チェコスロヴァキア、ハンガリー、ユーゴスラヴィア、ルーマニア、ブルガリアの東欧ジャズ・ガイド!
またまた凄い本が出ました!ソ連の国営レコード会社“メロディヤ”からリリースされたジャズのLPレコードを紹介する本『ソ連メロディヤ・ジャズ盤の宇宙』に続く社会主義時代(Under State Socialism)ジャズ・ガイド第2弾!本書は、ポーランド、チェコスロヴァキア、ハンガリー、ユーゴスラヴィア、ルーマニア、ブルガリアの東欧6ヶ国を巡るジャズ・レコード・ガイドとなります!約400枚のレコード紹介と各国のジャズ史も掲載された、とても読み応えのある1冊となっておりますよ!大充実の力作です!是非!
東欧ジャズ・レコード旅のしおり
岡島豊樹 編纂
小B6判並製:288頁(うち、カラー口絵32頁)
ISBN:978-4-910065-06-9
▼目次
●総合オリエンテーション
—ジャズ・レコードの発売元について
—ジャズ史ガイド(概要)
●ポーランド POLAND
—ジャズ史ガイド
1920〜30年代/「カタコンベ」時代/ウッチ映画大学のジャム・セッション/1956年:第1回ソポト・ジャズ祭/ポランスキの短編映画とコメダ/50年代後期〜60年のジャズ界の大きな出来事/ 1960年代のキー・パースン/ロック浸透時代のジャズ・スター/「連帯」誕生と戒厳令の時代/円卓会議〜体制転換期のジャズ動向
—ディスコグラフィ
●チェコスロヴァキア CZECHOSLOVAKIA
—ジャズ史ガイド
ダダ&シュルレアリスム・ミーツ・ジャズ/ナチス・ドイツ支配下のジャズ/モダン・ジャズ興隆/スプラフォンのジャズ盤発売姿勢/SHQ小史/ジャズ祭の定着と拡張/ジュニア・トリオ(ハンメル・Jr.とヴィトウシュ兄弟)/短い「プラハの春」とその後の「正常化」の中で/音楽家ユニオン内「ジャズ・セクション」の活動/“アルケミスト”、イジー・スチヴィーン/ビッグバンドの活性化/モラヴィア民謡とヴィクリツキー/ジャズ・ロック時代/フリージャズや前衛ジャズは限局的だった?!/ジャズ・セクション裁判
—ディスコグラフィ
●ハンガリー HUNGARY
—ジャズ史ガイド
戦間期のジャズ・ブーム/1956年ハンガリー革命の影響/1960年代のジャズ復興/国営クォリトンがモダン・ジャズ盤に着手/60年代精鋭展《モダン・ジャズ(Ⅳ-Ⅴ):アンソロジー64》/ゴンダ・ヤーノシュの教育面での貢献/“ハンガリー・フリージャズの父”、サバドシュ・ジョルジ/“ベースのパガニーニ”、ペゲ・アラダール/ローカル・ジャズ祭、ジャズ・クラブの貢献/1980年代に前衛ジャズが支持された背景/国外での活躍/ジプシー系ジャズ・ミュージシャンの苦悩と覚醒
—ディスコグラフィ
●ユーゴスラヴィア YUGOSLAVIA
—ジャズ史ガイド
ソ連と対立〜非同盟の時代のジャズ・シーン/アフター1956/ユーゴのジャズ盤事始め/《ミーティング・イン・スタジオ》シリーズの背景/連邦規模のジャズ祭の定着/放送局(RTV)付きビッグバンドがジャズ・シーンの醸成を担う/ザグレブ・ジャズ・カルテット(ZJQ)の西側進出/ゴイコヴィチの凱旋/ユーゴ・オールスター・ビッグバンドが意味するもの/80年代ユーゴ・ジャズ・シーンの新傾向/カリスマ指導者無き時代のバランス維持/ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、モンテネグロ/自治州:ヴォイヴォディナ、コソヴォ
—ディスコグラフィ
●ルーマニア ROMANIA
—ジャズ史ガイド
チャウシェスク以前/チャウシェスク浮上期はジャズ興隆期だった/ 10インチ盤ジャズ・シリーズ「Seria Jazz」開始/ヤンツィ・コロシーのアイデンティティ/マイノリティのルーマニア化/キケロとオシャニツキーの若き日:60年代初期/オシャニツキーの全方位型の大活躍/ジャズ・クラブ(文化活動)からジャズ祭への展開/エリントンが認めた歌手アウラ/「プラハの春」潰しにチャウシェスクは強く抗議した/ 「ミニ文化大革命」期以降
—ディスコグラフィ
●ブルガリア BULGARIA
—ジャズ史ガイド
ミルチョ・レヴィエフの台頭/ 〈アンチ・ワルツ〉放送禁止事件/バルカントンのジャズ盤発売初期/「ジャズ・フォーカス65」の名の由来/ドン・エリスの誘い/ヴェッセリン・ニコロフ「白緑赤」の戦略/JF65的編成で新趣向を打ち出したシメオン・シェレフ/ウェディング・バンドとフォーク・ジャズ/ジャズ全面的開花期80年代群像
—ディスコグラフィ
●索引
編纂:岡島豊樹(おかじま・とよき)
ジャズ喫茶イントロ(高田馬場)勤務を経て、「季刊ジャズ批評」誌編集人(1983–2001年)、「Jazz Brat」誌編集兼発行人(No.1–9:2002–2006年)、「東欧ロシアジャズの部屋」 (web)管理人など。著書に『ソ連メロディヤ・ジャズ 盤の宇宙』(カンパニー社、2021年)。東欧諸国のジャズ関連の文章:「映画音楽作曲家としてのクシシュトフ・コメダ」(遠山純生編『紀伊國屋映画叢書(1) イエジー・スコリモフスキ』、紀伊國屋書店、2010年)。「イジー・スチヴィーン・インタヴュー チェコのジャズ錬金術師の旅」(赤塚若樹編『PHASES』Vol.1、首都大学東京大学院人文科学研究科表象文化論分野、2011年)。「フォーク・ジャズ物語 ブルガリア、ルーマニア、モルドヴァ経由オデッサ行き」(『PHASES』Vol.2、同前、2011年)。「特別緊急講座 チェコ・ジャズ早わかりキーワードとその用例」(『Jazz Perspective』Vol.2、ディスクユニオン、2011年)。「68年プラハのフリージャズ《SHQ》の背景」、「きらめくチェコのジャズ星座(2013年版)」(共にウェブサイト「東欧ロシアジャズの部屋」)他。
https://jazzbrat.exblog.jp/
『ソ連メロディヤ・ジャズ盤の宇宙』に続く社会主義時代(Under State Socialism)ジャズ・ガイド第2弾では、ポーランド、チェコスロヴァキア、ハンガリー、ユーゴスラヴィア、ルーマニア、ブルガリアの東欧6ヶ国を巡るジャズ逍遥ツアーへご案内。ずるずると続いた冷戦の最中、ソ連・米国との付き合い方は各国一様ではなかったが、程度の差はあれどの国でもジャズを演奏することは自由を得ることを意味し、ともすれば反体制であることと直結していた。西欧・米国へ亡命する者もあれば、国内に留まって官僚内部のジャズ愛好家とひそかに共闘する者もあった。ここに掲載された約400枚のレコードは、ベルリンの壁が崩壊する前からすでに鉄のカーテンが透け透けだったことの証明である。